第10章 彼女はどうでもいい部外者

だが、次の瞬間――

南坂海乃は首をひねり、突き出された短刀を紙一重でかわした。

体重を乗せた肘が、男の脇の下へ容赦なく叩き込まれる。狙いは急所。

「ぐあっ!」

男が悲鳴を上げた。握っていた手から力が抜け、短刀がカラン、と床に落ちる。

反応する暇も与えない。南坂海乃は踏み込むと、男の股間へ蹴りを叩き込んだ。

「ぎゃああっ! このクソ女! 卑怯だろ!」

男が床にうずくまった隙に、海乃はふらつく足で倉庫の二階へ通じる鉄梯子へと突進した。

正面の大扉は施錠されている。逃げ道は、二階の古びた換気窓だけ。

「待て!」

二階へ這い上がった背後から、執拗に追ってくる足音。前方には、地面ま...

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